リターンロスブリッジのトランス その2

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前回までの粗筋】200KHzくらいまで使えるリターンロスブリッジを作りたい。そこで、フロートバランをやめて、強制バランを使うことを考えてみた (D)。しかし、3巻き線の強制バランは動作が不完全だ。何か良い方法は無いものか。



 (D) の強制バランは中点を接地して強制的に平衡を取るトランスと、ソータバランを一つにまとめたものだ。そこで、(E) のように、それぞれの働きを2個のトランスに分割する。

 これで、見た目も左右対称だし、各トランスは伝送路トランスとして作動することが出来る。これが「答え1」だ。



 いや待てよ。どうせコアを2個にするのなら、強制バランはそのままにして、その後ろにソータバランを入れて、(F) みたいにしたら?

 だめだめ。それじゃあ、中点が浮いているじゃないか。

 そこで、強制バランとフロートバランを入れ替えて、(G)にすればOKだ。これが「答え2」だ。



 (E)と(G)を比較すると、(G)の方が良さそうなので、こちらを決定版にする。



 しかし、3巻き線の強制バランを使う限り、気持ち悪さは残る。もう一歩踏み出そう。



   
 その答えが(H)だ。

 完全に対称なバランを使って、平衡・非平衡の変換をする。

 おっと、こいつは4:1バランだ。出力のインピーダンスが1/4になってしまうぞ。

 それなら、ブリッジとバランの間に1:4トランスを入れておけば×4÷4で元通りだ。

 と言うわけで、( I )を究極の答えとしよう。
   
 回路はこれでよいのだが、コアを4個も使うというのは大げさな気がする。

 手許にメガネバランがある。メガネバランは4:1強制バランを1個のメガネコアで作ったものだ。こいつを2個背中合わせにして使うことにしよう。



 ところで、メガネバランをそのまま使うと、(多分)もう一つ良いことがある。

 ここで使うトランスは全部伝送路トランスだ。当然、伝送路のインピーダンスは50Ωでなければならないが、エナメル線をねじり合わせたら、ちょうど50Ωになりました、というようなうまい話はない。

 しかし、ジャンクのメガネバランを見ると、細い平行線が使ってある。恐らく、これは75Ωの極細メガネフィーダーだ。50Ωでないのは残念だが、エナメル線をデタラメにねじり合わせるよりは良いだろう。



 いよいよ結論を出す時が来た。次の3個を作って、ベストのものを選ぶことにする。

(G) フロートバラン+3線式1:1強制バラン
( I ) 1:4トランス+4:1強制バラン
( I ) メガネバランを背中合わせにしたもの




 製作編はガラクタ製作所で発表だ。次週、乞うご期待。