ギガヘルツ・リターンロスブリッジの特性

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 これが出来上がった物だ。

 あまり綺麗とは言えないが、かなり絞り込んだ感じには見える。

 特性を取ってみると。
 (1) オープンで、0~1GHz。

 600MHzあたりから減衰が増えてくる。コアの限界か。
 (2) 50Ωのダミーロードをつけて、0~1GHz。

 800~900MHzの辺りに、変なピークとディップがある。

 まあ、900MHzまでは30dBとれている事にしよう。
 (3) オープンで、0~4GHz。

 2GHzと3GHzあたりに周波数のつなぎ目が見える。これはGigaStの特性。

 厳しいな。しかし、思ったほど悪くない。
 (4) 50Ωのダミーロードで、0~4GHz。

 ひどく暴れて、何が何だか。

 ブリッジが悪いのか、ダミーロードが悪いのか分からない。

 ただ、この感じだと1GHz以上で使うのは難しそうだ。

 何とか改善の余地は無いか。
 1辺はBNCジャックに半田付けしてあるので、プリント基板の裏表がつながっている。

 しかし、他の3辺がオープンになっていて、表のグランドと裏のグランドに距離がある。

 基板の3辺の縁を、銅板ではさんで、裏表のグランドを最短距離でつないでみた。
 (5) 再び、オープンで、0~1GHz。

 上のグラフと比べると、1GHz近くのロスがびみょ~に減っている。

 ちょっと改善が見られた。
 (6) 50Ωダミーロードで、0~1GHz。

 800~900MHzの変なデコボコが無くなって、素直な感じに。

 その代わりに、リターンロスが若干悪化した。
 (7) オープンで、0~4GHz。

 (3) と比べると、一部悪化しているが、全体に改善されてフラットになった。
 (8) 50Ωダミーロードで、0~4GHz。

 (4) と比べると、デコボコが少なくなった。

 その代わりに、10dB近く悪化した部分が有るから、どちらが良いとも言えない。

 しかし、これを1.5GHz以上で使うのは、ちょっとキビシイ。
 念のために下の方の周波数を確かめておく。

 オープンにして、0~200MHz。

 20dBで、ほぼフラットだが、40MHz以下は良くない。

 50MHzバンド以上専用だ。

 HF専用なら簡単だから、別につくればよい。
 50Ωのダミーロードで、0~200MHz。

 30dBくらいの減衰で、ほぼフラットだ。

 30dBならSWRにすると1.1以下だから実用上十分だ。

 ザッと上の方を見ると、600MHzくらいまでなら、安心して使える。
  
 それにしても、目標は2GHzなので、全然とどいていない。

 1200MHz辺りで、便利なSWR計として使う分には良いと思う。SWRのスペクトルが見えるので、アンテナの調整が非常に楽になる。

 しかし、リターンロスが30dBもないようでは、シビアな用途には使えない。

 以下の要領で、もう一度、特性を見直してみると、この構造で1200MHzくらいまではうまく行っていることが分かる。

  
 GigaStの出力と入力を1mほどの同軸で直結した、0~4GHzのスペクトル。

 2GHzと3GHz辺りに不連続があって、周波数の高い方のレベルが低い。

 これがGigaStの基本性能だろう。
 そこで、この状態を、0dBフラットにした。
 リターンロスブリッジにつなぎ替えて、オープンにした状態の、0~4GHzのスペクトル。

 上の状態で、同軸ケーブルのロスもキャンセルされたので、このスペクトルはリターンロスブリッジの生の特性だ。

 1200MHzまでは12dBちょっとでほぼ平坦だ。1200MHzを越えると急に悪化している

 12dBがオープンにした時の理論値なので、1200MHzがこのリターンロスブリッジの上限周波数と考えて良いだろう。
  
 このグラフのへこんだところを埋めて、2GHzまでフラットにするのが目標。

 3GHzから上でかえってロスが少なくなっているのは、ブリッジを迂回して漏れているのだろう。シールドを強化すれば良いのかな。

 微妙に波打っているのも何とかしたい。