水素自動車・電気自動車   2016.6/29


・考え事にもどる

   
 水素自動車は水素で、電気自動車は電気で走る。では、その水素や電気はどうして作るのか。

 以前、電気自動車の燃費がハイブリッドより良いのは、税金の問題だと書いた。その通り、電気は発電所(主に火力発電所)で作っているので、石油や天然ガスを消費する。電気自動車は「金額的」には燃費が良いが、「熱力学的」に燃費が良いわけではない。

 某自動車メーカーの技術屋さんから聞いたので、間違いはあるまい。彼(彼女?)が言うには、現状ではハイブリッドがベストチョイスだ。いつか熱力学的に安価な発電が出来るまでは。(原発のような、数字の誤魔化しは不可。)



 とすると、水素自動車はどうだろう。

 現在は工場の排出物(例えば水酸化ナトリウム製造の副産物)として、安価な水素が利用できる。しかし、水素自動車が普及した場合、そんなものでは全然足りない。

 現状で確立している技術としては、化石燃料(石油や天然ガス)の改質か電気分解だ。

 化石燃料の改質による水素の製造は、全くの誤魔化しだ。直接燃やした方が、熱力学的に賢い。ただし、改質のメリットが無い事もない。CO2の集中処理ができる。

 電気分解による水素の製造は、電気自動車と同じ問題点が存在する。(本当に)安価な発電が出来るまでは、数字のトリックに頼るしかない。



 結局、現在最も実用化に近いのは人工光合成だ。

 人工光合成へのアプローチは、無機触媒と有機触媒(酵素)の2方面からされているようだが、まだまだ実用までには遠い。

 実は、私は人工光合成については高校の時から考えているのだが、未だに成功していない。まして、私に出来ない事を、一介の電池メーカーや自動車メーカーなどが一朝一夕に出来るモノではない。

 と言っては身も蓋もないので、ヒントをあげよう。

 「電流→光」変換についてはEL(エレクトロルミネッセンス)が現状十分実用レベルだ。私は寿命の問題からして、無機発光材料の方が良いと思うが、それはさておき。

 ELの研究の中で、エネルギー変換についてかなりのデータが蓄積されたはずだ。電子移動等については有機触媒の方が有望だろう。高価だが、ロジウム錯体あたりを検討してみたまえ。健闘をいのる。プシュ〜〜。

 高コストの水素ステーションの建設などを考えると、短期間で水素自動車が軌道に乗るとは思えない。

 といっても、将来的には必要な技術なので、メーカーとしては世間をごまかしつつ一日も早く実用的なエコシステムを完成させて欲しいものだ。