領土問題 その2    2015.9/8


・考え事にもどる

   
 領土について意見が対立する時、実効支配している側は「領土問題は存在しない」と主張するのが通例だ。

 従って、竹島では、日本が、「領土問題について話し合おう」と申し出るのに対して、韓国側が、「領土問題は存在しない」と突っぱねている。

 一方、尖閣諸島では、中国が、「領土問題について話し合おう」と申し出るのに対して、日本側が、「領土問題は存在しない」と突っぱねている。

 つまり、日本はダブルスタンダードを用いているわけで、これは苦しい。

 ここで、北方領土問題おけるロシアの太っ腹ぶりが、ひかっている。

 本来なら、ロシアは「領土問題は存在しない」とさえ言っていれば良いのだが、ほぼ大統領が交代する度に、交渉のテーブルに着いている。

 勿論、親切でそんなことをしてくれるはずもなく、その時々に、交換条件が有ったはずだ。とくに、日本のバブルの頃なら、良い条件で話を進められただろうに。

(1) 北方領土
・ 旧ロシアと日本のどちらが先に北方4島を「発見した」のかは諸説有るが、その時、アイヌが住んでいたので、無人島ではない。

・ 第2次世界大戦の時点では、日本人が住んでいた、(日本が実効支配していた。)

・ 第2次世界大戦終戦時のどさくさにソビエトが占領して、現在に至る。(ロシアが実効支配している)

・ 戦後何度も返還交渉が持たれ、返還の機会もあったのに、外交交渉のミス(主に、四島一括返還へのこだわり)のせいで、失敗している。

・ 第1次安倍内閣あたりで良い線まで行っていたのに、福田内閣、麻生内閣、民主党内閣あたりで、日本の国内政治が無茶苦茶になって、ロシアとしては交渉相手を失った。(当時、ロシアだけでなく世界中から、「誰に話を通したら良いのか分からない」という批判があった。)

・ ロシアはもう日本を見限って、北方四島の本格的開発に着手した。

・ 第2次安倍政権とプーチンは比較的上手く行っていたのに、ウクライナ問題で日本がNATO側に付いたので、またぶちこわしになった。

・ はっきり言って、もう手の施しようがない。


(2) 竹島
・ 日露戦争の時に、砲台または監視所として有用なために、日本が領有した。

・ それまでは日本も韓国も、竹島を重視していなかった。無人島で、所在もはっきりしていなかった。

・ 竹島領有(1905)の5年後に日韓併合(1910)があったため、韓国では(というか世界史の常識としては)竹島領有は日韓併合の一環と了解されている。

・ 従って、韓国では「歴史認識」と切り離して竹島問題を論ずることはできない。

・ 第二次世界大戦終戦後、竹島の帰属については曖昧なままにされた。

・ 李承晩(り・しょうばん イ・スンマン)によって軍事境界線が引かれ(1952)、竹島は境界線の韓国側に入れられた。この後、韓国が実効支配しているといってよい。

・ 日露戦争以前(江戸時代など)に、日本や韓国で竹島について触れた古文書などが多数あるが、決定的な物は無い。

・ 韓国人が竹島を心のふるさと(日本で言えば、富士山とか伊勢神宮)みたいに言うのは、戦後の教育による刷り込みで、日韓併合以前は名前も知られていなかった。

・はっきり言って、もう手の施しようがない。


(3) 尖閣諸島
・ 1895年にアホウドリ事業のために、無人島だった尖閣諸島を日本が領有した。

・ 同1895年、日清戦争の結果、台湾併合。

・ 同じ年だったが、尖閣諸島は重要視されていなかったので、竹島の場合と違って、尖閣諸島領有と台湾併合は同一視されなかった。

・ 第二次世界大戦終戦後、台湾は独立して中華民国の一部になった。

・ 尖閣諸島は沖縄の一部として、アメリカの占領下に置かれた。

・ 1972年沖縄が日本に返還されたため、尖閣諸島も日本の領土であることが確定した。

・ 1968年、尖閣諸島海域に石油埋蔵が推定されるというレポートがあり、これを受けて突如として中華民国が尖閣諸島の帰属について異論を提出した。

・ 1972年、日中国交回復で、中華民国(台湾)は中華人民共和国(中国)の一部という認識になった。結果、中国が、尖閣諸島の領有を主張することを引き継いだ。

・ 尖閣諸島については有力な古文書もなく、1895年の日本の領有は妥当と考えられているので、現在も日本の領土と考えて差し支えない。

・ 考えられる反論としては、日清戦争で中国が弱っているのにつけ込んで、日本が強引に領有した、というものだ。

・ しかし、石油が発見されるまでは、中国からは何の異論も無かったので、それ以前には中国にも台湾にも、「尖閣諸島を日本に奪われた」という認識は無かったと考えられる。

・ 長らく「なあなあ」で済ましていたが、石原東京都知事の暴走と、民主党内閣の幼児的対応の結果、中国につけいる隙を与えてしまった。

・ 中国は中央の支配が末端までとどいている保証がないので、現場が暴走する恐れが多分にある。

・ 現場の中国軍と、日本の海上保安庁の衝突の可能性は、かなり有る。

・ 偶発的な衝突を、上手く処理できる体制が、今の日本にも中国にもない。

・ 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、・・・・・・・・・・・・・・・・・。