高周波ブリッジ(2)
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 アンテナの調整に便利な高周波ブリッジ。タイプは色々あるが、図はトランスブリッジ。

 トランスの両側がバランスしていれば、信号が検出されなくなる。

 VCとVRを調整して、信号を最小に、できればゼロにする。
 
 信号がゼロになったとき、VC=C1ならば、アンテナの容量分はゼロだから、アンテナはその周波数で共振している事になる。その時のVRの値がアンテナのインピーダンスだ。

 もし、信号がゼロの時VC>C1なら、アンテナは容量性なので、エレメントが短すぎる。

 VC<C1なら、C1の容量が打ち消されている、即ち誘導性なので、エレメントが長すぎる。

 とまあ、便利なものだ。アンテナの同調とインピーダンスが同時に測定できる。

 以前作った高周波ブリッジ(1) は信号源も検出方法も外付け、C1もVCもついていない簡易型だった。それでも十分実用になるが、もう少し「高級な」ブリッジを作ってみた。



 ところで、アンテナはある周波数で使うので、その周波数の信号が必要だが、よ〜く考えてみると、信号源と検出方法の両方が同調している必要は無い。

 どちらかが単一周波数であればよい。つまり、下の表のAかBのどちらかの方法を用いる事ができる。

 もちろん、両方とも単一周波数、例えば信号源がSGで検出には受信機を使う事もできる。しかし、それでは双方の周波数をぴったり合わせておかないといけないので、かえって面倒だ。リッチなあなたはトラッキングジェネレータを使えばよいのだが。
  
  信号源 検出方法
 A  単一周波数
 送信機
 SGなど
非同調
 ダイオード検波など 
 B  全周波数
 ホワイトノイズなど
単一周波数
 受信機など
 
 一長一短だが、信号源や検出回路を一体化した、市販のアンテナアナライザーは、Aのやり方だろう。

 Bタイプは信号源にホワイトノイズを使うので、「ノイズブリッジ」という。バランスの検出に受信機を使うので面倒だが、自作しやすい。

 ノイズブリッジはFCZ式のものをたくさんのOMが製作しておられる(例)ので、デッドコピーする。
  
   
 ノイズ発生回路は丸パクリ。あとは誰が作っても同じような回路になるだろう。

 トランスは適当なトロイダルコアにトリファイラで4〜5回巻く。伝送路トランスではないので、2次側さえバランスしていればよいのだが、トリファイラで巻くのが楽だ。

 下の方がつまると見にくいので、VRはAカーブがよい。200Ωか300Ωが良いのだが、Aカーブなら500Ωでも良い。50Ω付近しか計らないのなら100Ωでも良い。

 出力側のアッテネーターは、受信機をつないだとき、ブリッジに影響しないように、というつもりだが、どの程度効果があるものか。
   
 まずはノイズ発生回路から。

 例によって、生基板の切れ端にランドを接着する。

 簡単なものなので、完全な空中配線でも良いのだが、平面的に作った方が、パッと見て間違いが分かりやすい。
 因みに、これはランド式のセット。

 3mmから5mmくらいの基板の切れ端と、瞬間接着剤を、小さな袋に入れておく。

 ヒマなときに、色々な大きさの切れ端を作って備蓄する。
 およそ回路図どおりに部品を載せていくと出来上がり。

 できるだけ部品を寝かして取り付ける。この方が配線の間違いがない。

 電源をつないでみると、盛大にノイズを出している。大成功。

 マルチバイブレーターの音とも、ツェナーダイオードの音とも違う、独特のノイズだ。
 次にトランスを作る。部品箱に#43のコアがいくつかあったので、内径が3mmほどのを使う。

 0.2mmのウレタン線をトリファイラで4〜5回巻けると良いのだが。太すぎたら0.1mmでやり直す。

 眼鏡バランが沢山有るので、使い道がないかと思うが、低い周波数では無理か。また次回、何か考えよう。
 より線のピッチが少し長かった。かなり撚ったつもりだったが、コアに巻く前に確認すれば良かった。

 おそらくそんなにアンバランスになる事もあるまい(と勝手に決めつける)から、これで良しとする。

 エポキシ系の接着剤でかためてしまう。
 LM386アンプを入れておいたプラケースを使う。

 余計な穴が沢山開いているが仕方がない。

 主な部品を取り付けておく。
 配線する。

 発振基板や電池ケースは「超強力」両面テープで取り付ける。

 早速、ダミーと受信機をつないでみる。

 バッチリ、ディップが出る。50MHzまでは十分使える。

 しかし、低い周波数ではディップがブロードで、分かりにくい。
 低い周波数で、手を近づけるとバランスが崩れるので、VRのケースをアースしてみた。

 ボディエフェクトは無くなったが、代わりに、バンドごとのメモリのズレが大きくなってしまった。

 仕方がない。
 完成。ケースにユポ紙を貼り付けて、目盛りを書き込んだ。

 目盛りは、VRの抵抗値をデジタルテスターで計って書き込む。

 ダミーを沢山作って校正しても良いが、この程度の機器でそこまでする意味はない。

 高い周波数の誤差はやむを得ない。
  
 【考察】 VRとVCが直列になっているので、高い周波数ではVRが、低い周波数ではVCが効いてくるのは仕方がない。

 大きなVCを使えば良かったのだが、無いから手持ちの100pFのタイトバリコンを使ったので、低い周波数で使い心地が悪くなった。

 低い周波数でRをチャンと測定するためには、大きなVCを使うか、Rを測定するときにCをショートしてしまうと良い。

 以前作ったブリッジのように、Rの測定だけにするのが簡単で効果的だ。

 Cを測定するのは、共振しているかどうかを知りたいだけだから、他の方法で共振周波数を調べれば済む事だ。